舟見さん「それ、珠洲のおじいちゃんが作っているの」
私「へー、これ格好いいですね〜」
舟見さん「今度会いに行ってみる?」
私「はい、もちろん行きますっ!」
というような流れになり、本日ご本人にお会いしてきました。珠洲にお住まいで、わら細工を今でも作られている藪下盛栄さんです。
工房におじゃまするといきなり凄いものが飛び出してきました。
これは「わらうち機」
下にある踏み台を足で踏むと両サイドの板が稼働します。
上の輪っかは竹で出来たバネです。
両方の木槌がごつんとぶつかり、真ん中の藁を平らに伸ばす仕組みです。
知り合いの方の納屋からこの木槌の木材が見つかり
昨年大工さんに頼んで、昔のように復元したそうです。
わらうち機を使わない場合は棒でひたすら藁を叩くのですが
これだとちょっと踏むだけで楽に作業がこなせます。
藪下さんは自身が子供の頃当たり前に日常でやっていた手仕事を、今でも同じやり方で再現しています。あの当時はこんなことをしていた、あんなことをしていたな、と思い出しながら色々なわら細工を作られているのです。
舟見さんのところで見たあの美しく格好いい
「ねーごほうき」
お伺いした時、丁度作られていました。
藁で籠などを編む時に使う「こまえまた」
ぶら下がった木「つつのこ」に糸を巻きつけて編んでゆきます。
雪の時に履く藁くつ
一度使うと濡れるので、一日の終りに
囲炉裏の近くで乾かしてからまた使うそうです。
むかし薬草はこうして藁に包みました。
それを囲炉裏の近くに吊るして湿気から中の薬草を守ったそうです。
薬草以外にも、魚を買いに行く時に買った魚を
このわら苞に入れて持ち帰ったそうです。
小さい子の子供の面倒がみれない農作業で忙しい時期は
この籠に子供を入れて紐で縛って外に出れないようにしました。
ねーごほうき
利便性、効率性、そんな時代と共に忘れ去られていったモノたち。わずかながらこうして現代でも作る方が存在し、このように心のあるモノが生み出されていることに感銘を受けました。
一つのモノから、いろいろなものがたりが聞こえてくる、そんなモノ達はとても魅力的で輝いて見えます。
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