2017-04-30

移住しても仕事がないのか?



憧れの地方移住、しかし現実的に考えると働き口があるのか?という問題があるかと思います。実際、移住の相談を受けるときも「仕事はありますか?」と聞かれることが多いです。移住する決意はした、家の確保もできそうだ、しかし収入を得る先が...と結局「仕事」が最後の砦となり前に進まない方も多いと思います。無論、その土地に関係なく自分で仕事を作り出せる人には今回のお話は関係ありません。

私の場合は、移住のきっかけが石川県の実施した「農業体験研修」に参加したことだったので、最初は県職員に相談しながら「就農計画」という書類を作り珠洲市で農業をする予定を立てていました。なぜ就農なのか?それは田舎で田舎らしく出来る仕事が「農業」くらいにしか単純に思っていなかったからです。ただ恐らく、田舎で農業でもして暮らせれば、と思っている移住希望者は多いのではないでしょうか。

実際、農業や漁業などは国、自治体の支援体制が整っているので、他の事業を開業するよりは大分優遇されているのは事実です。私は就農計画を作成し、市役所の移住担当窓口に相談している中で、「就農前にまず地域を知るために働いてみませんか?」というお言葉を頂き、運良くオープン予定であった道の駅で働くことが出来ました。第一希望の職業では無かったのですが、結果的にやりがいのある仕事を見つけることが出来ました。

道の駅では沢山の経験をし、地元農家の方との繋がり、現地での農産物流通の現状など多くの事を学びました。そこで感じたのは農家も生き残り競争の中の「ビジネス」で戦っており、過疎地で生き残っている専業農家はそれなりの技術、ノウハウ、センスをもっておられたということ。何も考えずただ、「田舎の仕事=農家」程度にしか考えて無かった自分にはとても勝負できる場所ではないなと考えました。

道の駅での仕事は元から数年だけ働くと決めていたので、1年半で退社。その後は生産者、物づくりなどに関わる地域の人をサポートしたいと思い、デザイン会社を作り、プロダクトデザイン、広告デザイン、などの仕事を現在しています。



移住しても仕事がないのか?

結論から言えば仕事はちゃんとあります。ただ都会のようによりどりみどり選べるという事はありません。地元のハローワークに言っても求人数は都会に比べ圧倒的に少ないです。現地の人が仕事を求め都会に出ていくことで、過疎になっているのですから、こればかりは仕方がありません。

国家資格を持っているとか、何か特別なスキルが有るならば、過疎地が故に人が来てくれないという職場もありますから、チャンスがあるかもしれません。都会でのビジネス経験を活かして、行政の臨時雇用などで地域支援などのポジションを狙うのも良いかもしれません。接客業が得意なら、ホテルや旅館なら比較的定期的に求人が出ています。仕事はなくなはいのです。ただ、選択肢は多くないということです。

また田舎の給料の額ですが、私は覚悟しつつも当初びっくりした記憶があるのですが、最低賃金より上だから問題ないと考える経営者も多く、圧倒的に低い賃金の働き口が多いように見えます。アルバイトやパートの時給は、都会の高校生のアルバイトよりも低い職場が多いです。正社員になっても都会に比べ給与が低いのは同じです。ただ、これらの事は日本全国の過疎地で当たり前という事は考えればわかります。しかし、いざ実際自分がそこへ移住して働き先を探すとなると、突きつけられる現実として、身にしみて実感することになるかもしれません。

とはいえ、単純に貰うお金に対して、出て行くお金はどれくらいだろうか?と考えていかないとまったく意味がありません。私の場合、東京で仕事をしていた時と道の駅で働いた時の給料ではマイナス10万円ほどになりました。実際暮らしてみて、感じたのはそのお給料でも問題なく生活出来ましたし、貯金も出来ていました。



「田舎への移住生活」という言葉の中に含まれるのは「くらし」なのか「しごと」なのか、それともその両方なのか?例えば、その土地で生活できるだけの収入が得られれば仕事内容はこだわらず、週の休みは農作業や自然を満喫し「自分の好きなことが出来ればよし」、とするのか?それとも、暮らしだけでなく、仕事の中でも「移住ならでは、田舎ならではの職に就きたい」と考えるか?想い描く田舎暮らしのビジョン、良しとする生活レベルは人によって違います。

大事なのは田舎暮らしのどこに満足感(幸福感)を得るのか?だと思います。これは人それぞれ感じ方が違うので、自分の中でしっかりと整理しておけば、移住を選択する時の迷いがなくなると思います。







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