能登半島には農耕儀礼アエノコトという祭事があります。田んぼの神様に感謝と労いの気持ちを、目に見える形として残してきた文化です。
ユネスコの世界無形文化遺産に指定されている祭事ですが、元々は能登の農家誰しもが行っていた、ごくごく当たり前の行事でした。
12月5日に田んぼの神様を家にお迎えし、約2ヶ月の間農家の家で休んでもらい、2月9日(一部地域11日)にまた田んぼに神様をお送りします。この祭儀の基本的な形式は、神様をお迎えして、暖をとってもらい、お風呂にお連れし、食事をもてなす、という形で行われます。
各農家の家庭の事情や、生活レベルの違いなど、そういう事は当然有りますから、それぞれでもてなしの仕方は違いが有ります。あくまでもその家の家長が思う、最高のもてなしを、田の神様に行うのことがアエノコトです。
田んぼで稲作をし、美味しいお米が食べられる喜び。日々の感謝の気持ちが見える形となった、とてもわかり易くシンプルなこのアエノコト。そんなアエノコトを私は好きです。
あって当然、当たり前、というものはこの世に存在しません。かって人が関わる多くの場に、沢山の異なる神が存在すると信じていた日本という国は、感謝するという気持ちを大切にした民族だったのかもしれません。
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